3.11grade5PM1.JPG

2016カンボジア渡航日記~4日目~

2016/10/07

カンボジア サトウキビ畑

こんにちは!

カンボジア渡航日記4日目です!
4日目は現地活動日でした。4日目は日本でいう教育委員会である教育事務所と小学校の先生にインタビューをしました。

今回はそのインタビューの中で感じたことをブログにしてくれています!

 

-----------------------------------------------------------

『ある村から世界を』

 

みなさんは今日、お砂糖を食べましたか?

そのお砂糖は、誰がどんな風に作ったお砂糖ですか?

 

こんにちは!ただいま現地活動中の高野です!

突然の始まりですみません(笑)

でもほとんどの人は、自分が食べているもののほとんどが誰の作ったものなのか

わからないんじゃないかなと思います。

少なくとも僕はわかりません。

お金は払っているけれど、一体僕たちはどこから食べ物をもらって、何によって生かされているんだろう?こんなことを本当にたまーにですが考えます。

 

僕たちの活動する村は企業の土地収用によって、強制移住させられた人たちが暮らす村です。

もともと農業で自給自足をしていた村の肥えた土地に目をつけた企業が、その村から住民を追い出し、始めたのがサトウキビの栽培。

そうです。この砂糖は僕たちが住む先進国に送られています。(注:この企業でつくられた砂糖ですが、実際にはヨーロッパの超有名企業に売られています。ここでは例として挙げていますが、先進国というだけで日本に送られているわけではありません。)

 

広大に広がるサトウキビ畑は僕たちの生活を成り立たせているものを見せてくれているようです。

世界には悲しいけれど中心的な場所があって、また中心的な人がいて、そしてその中心を成り立たせるために周辺に追いやられている人や場所がある。あの村にいるとそんなことを感じます。

 

それじゃあ、あの企業は悪者でしょうか?

確かに強制移住は良いことではありません。

識字ができない村人に契約書にサインさせたことも、移住先のインフラ整備を約束したのに

それを踏み倒したことも悪いことだと思います。

農業という生業を失った彼らのほとんどは、自分たちの生活を大きく変えたその企業で働くしかない状況です。これも狡猾なやり方です。

実際、数年前の強制移住の際、住民は石を投げて抵抗しました。

だからこそ今日、村で聞いた小学校の先生の話は印象に残っています。

 

「児童の成績が悪いので夏休みに補習をしたいと思いました。でも僕も給料をもらわないと生活ができない。それで補習分の給料をサトウキビの企業に出してくれるようにお願いしました。彼らは快くお金を出してくれましたよ。

え?教育省?彼らはお金を出してくれません。この村の住民はみんなあの企業で働いているから、企業は私たちの気持ちをわかってくれるんです。」

 

軍隊まで雇って村にやってきた企業の大きな力に石を投げて必死で抵抗した日から数年、村は雇用先の面でもその他の面でも、もはや企業なしでは成り立たなくなっているのかもしれません。

この企業はカンボジアの与党第一党の上院議員が社長を務めています。

その影響か、2013年の総選挙ではこの地域は野党が多くの議席を獲得しました。

 

今日聞いた小学校の先生の話は、そんな企業が住民から支持を得たい思惑が見え隠れします。

しかし企業も村人もお互いに望んで繋がりを深めているなら良いのではないか。強制移住など過去のこととして、少なくとも部外者の僕たちがどうこう言うことではない。

そんな風にも思います。しかし、多様性を無視してサトウキビだけを育てる農法は多くの農薬や化学肥料を必要とし、永久的にあの土地を使い続けることはできないでしょう。

企業が「他の土地に行こう」と言えばその瞬間、村には痩せた土地だけが残り、厳しい現実が待ち受けるでしょう。

 

その意味で本当は一方的に村が企業に依存しているのだと思いますが、少なくとも今を見れば住民は企業を受け入れている。

批判的に言われるような「大企業が村を支配している!」というような単純な話ではなく、お互いが求めあっているような支配関係。しかし確実に一方が破滅へ向かう支配関係。

なんだかこの村だけでなく、他の作物や原子力発電なんかも、誰か悪者がいるというわけではない難しい構造があるのかなと感じます。

 

先ほどお話ししたこの企業の社長は、カンボジア与党の上院議員であると同時にタイ人の政治家です。

カンボジアの国道からも離れた小さな村。山のふもとにある小さな村。

しかし、カンボジア政府からの支配やそれを自分から受け入れる村人の関係、そんな村人の未来、そしてタイという外国の資本、そしてそのような人々の様々な思いで作られたものによって作られるお砂糖。

そんな自分が住み、そして自分を成り立たせている世界が、この村から見えるような気がします。

 

支援活動も良いけれど「支援」というほど、僕たちは関係ない善意の人たちでもなく、ある意味関係者の1人なのかななどと考えた現地活動の5日目でした。

 

帰り道、村を出てすぐにある売店に寄りました。

僕たち外国人がいることすら不自然そうな僻地のこの村の牧歌的な景色を眺めながら、今日のブログの内容を考えました。

店の看板には大きく「Thailand Shop!」という文字がありました。

 

コメント